GBRとは?骨が少ない人のためのインプラント前処置ガイド
2025年6月14日

目次
小野瀬歯科医院です。
インプラントを検討した際に「顎の骨が足りません」と診断されたことがある方は少なくないでしょう。
実は、骨が不足しているとインプラントをしっかりと固定することができず、治療が難航します。
そのような時に用いられるのが「GBR(骨誘導再生法)」と呼ばれる骨を再生させる技術です。
今回は、GBRの基本から、どんな症例に適しているか、どのような手順で進むのかを詳しくご紹介します。
この治療法を知ることで、骨の量に不安がある方でもインプラントの選択肢が広がるはずです。
結論として、GBRは骨不足の方にとってインプラントを可能にする有効な方法といえます。
GBRとは何か
GBRとは、歯を失ったことで顎の骨が減ってしまった部分に対して、骨の再生を促す処置です。
骨の厚みや高さが不十分だと、インプラントを支えるための基盤が足りず、治療ができないケースもあります。
そこで骨の再生を助ける材料(骨補填材)と、再生を妨げる細胞を遮断する膜(メンブレン)を組み合わせて使用します。
骨を作る「骨芽細胞」が増えやすい環境を整えることで、必要な骨量を確保していきます。
時間をかけて再生された骨によって、インプラントの埋入が実現可能になります。
なぜGBRが必要なのか
GBRが必要になる背景には、さまざまな骨の喪失原因があります。特に多いのは以下のケースです。
- 歯を失った後、長期間放置したことによる骨の萎縮
- 入れ歯やブリッジでは骨に直接負荷がかからず、骨が退縮してしまう
- 歯周病の悪化によって顎の骨が溶けてしまう
こうした状態では、インプラントを埋めようにも支える土台が不足しており、安定性が得られません。
GBRを併用することで骨のボリュームを取り戻し、インプラント治療の成功率を高めることができます。
GBRの施術ステップ
GBRの手順は、症例により多少異なりますが、一般的な流れは以下のとおりです。
まずは必要に応じて、自分の骨(自家骨)を採取する処置を行います。
採取部位としては、顎の先端や奥歯の裏側などが一般的で、細かく粉砕して使用します。
その後、インプラントを埋めると同時に、周囲に骨補填材や自家骨を配置します。
最後に、これらをメンブレンで覆い、歯肉を縫合して再生期間に入ります。
- 吸収タイプの膜は自然に体に吸収され、取り出しは不要
- 非吸収性の膜はチタン製で、後日取り除く手術が必要となる
GBRの利点と課題
GBRを選ぶことで、骨が足りない場合でもインプラントを実施できるようになります。
また、骨の位置や形を整えたうえでインプラントを埋入できるため、治療の長期安定性が期待できます。
一方で、手術の回数が増える、費用負担が大きくなるなど、いくつかのデメリットもあります。
外科的処置に伴う腫れや痛みのリスクもあるため、事前のカウンセリングで十分な説明を受けることが大切です。
リスクと効果のバランスをしっかり考えて判断しましょう。
- メリット:骨不足でも治療が可能/インプラントの長期安定が期待できる/幅広い症例に対応できる
- デメリット:外科的な手術が必要/費用が高くなることがある/治療期間が長引く可能性がある
GBRが推奨される症例と注意点
GBRは、インプラントを埋めるための骨が大きく欠損しているときにとても有効です。
抜歯後に大きく骨が吸収されていたり、歯周病が原因で骨が失われた症例にも適しています。
ただし、喫煙をされている方や糖尿病などの持病がある方は、術後の治癒が遅れることがあります。
また、強い刺激や過度な運動は術後の回復を妨げるため、安静に過ごすことが重要です。
治療の安全性を確保するためには、経験豊富な歯科医による診断と計画が欠かせません。
まとめ
GBRは骨の量が不十分な方でもインプラント治療を可能にする再生医療の一つです。
骨の再生環境を整え、インプラントがしっかりと固定できる状態へ導いてくれます。
多少の負担や費用はありますが、安全性と成功率を高める上で、非常に価値のある治療法です。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
龍ケ崎市・竜ヶ崎駅の歯医者
『小野瀬歯科医院』
TEL:0297-62-0130