神経を抜いた歯の変色、放置はNG?黒くなる原因と治療の選択肢
2026年4月18日

過去に虫歯や外傷で歯の神経を抜いた経験がある方の中には、時間とともにその歯が少しずつ黒ずんできたと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。一本だけ色の違う歯は、口元の印象を大きく左右し、人前で自然に笑うことをためらってしまう原因になることもあります。これは多くの方が抱える共通の悩みです。
この記事では、なぜ神経を抜いた歯が変色してしまうのか、その科学的なメカニズムを3つの主要な原因から徹底的に解説します。さらに、変色してしまった歯を白くするための具体的な治療法として、「ウォーキングブリーチ」と「セラミック治療」の2つの選択肢を詳しくご紹介します。それぞれの治療法のメリット・デメリット、かかる費用や期間、そして保険適用の有無まで、専門的な情報を分かりやすくお伝えします。ご自身の歯に何が起きているのかを正確に理解し、自信を持って笑顔になれる解決策を見つけるための第一歩としてお役立てください。
鏡を見てハッとした経験は?神経を抜いた歯の変色、諦めないで
ふと鏡を見たとき、あるいは友人との記念写真を見返したとき、一本だけ目立つ黒ずんだ歯に「ハッ」とした経験はありませんか。その瞬間、口元に自信が持てなくなり、人前で思い切り笑うことをためらってしまう方も少なくありません。それは、あなたが一人で抱え込む特別な悩みではありません。多くの方が、過去に神経を抜いた歯の変色に頭を悩ませています。
しかし、「もう元の白さには戻らない」と諦める必要は決してありません。歯科医療の進歩により、神経を抜いた歯の変色を改善し、再び自然で美しい白さを取り戻すための効果的な治療法が確立されています。あなたの口元を明るくする選択肢は確かに存在します。
この悩みを解決するための具体的な方法を知ることで、きっと自信に満ちた笑顔を取り戻せるでしょう。これから、その具体的な治療法について詳しく見ていきましょう。
なぜ神経を抜いた歯は黒く変色するのか?3つの主な原因
神経を抜いた歯が時間とともに黒ずんでくる現象は、多くの方が経験されるお悩みの一つです。この変色は、単に「歯が死んでしまったから」という一言で片付けられるほど単純なものではありません。実際には、歯の内部で起こる複数の複雑な変化が影響し合って生じます。主な原因としては、歯の内部構造の変化、歯の内部に残った血液成分の沈着、そして過去の治療で用いられた材料の影響という3つが挙げられます。
これらの原因を深く理解することで、ご自身の歯に何が起きているのかを正確に把握し、適切な治療法を選択するための第一歩となります。この後の項目では、それぞれの原因について科学的な根拠に基づき、分かりやすく解説していきます。
原因1:歯に栄養が届かなくなり「枯れ木」のように変質する
歯の内部には「歯髄(しずい)」と呼ばれる神経や血管が通る組織があります。この歯髄は、歯に栄養や水分を供給し、健康な状態を保つ上で非常に重要な役割を担っています。しかし、虫歯が深く進行したり、外傷によって歯が損傷したりした場合、この歯髄を取り除く「根管治療」が必要になることがあります。
神経を抜くと、歯への栄養や水分の供給が途絶えてしまいます。これは、まるで生命活動を失った「枯れ木」のような状態に例えられます。歯の大部分を構成する象牙質(ぞうげしつ)という組織は、健康な歯では弾力性があり、透明感のある色をしていますが、栄養供給が途絶えることで徐々に弾力性を失い、乾燥して硬く、色が濃く変化していきます。この象牙質の変質が、年単位でじわじわと歯が暗く、くすんだ色調に変わっていく根本的な理由となります。
原因2:歯の内部に残った血液成分や組織が変色する
歯の変色には、歯の内部に残った血液成分も深く関わっています。外傷によって歯髄が死んでしまった場合や、根管治療の際に歯髄組織を完全に除去しきれなかった場合、歯の内部に血液が残存することがあります。この血液に含まれるヘモグロビンという成分は、時間の経過とともに分解され、その中に含まれる鉄分が象牙質の非常に細かな管(象牙細管)に入り込み、黒っぽい色素として沈着します。
この現象は、身体のどこかをぶつけて内出血を起こした際に、皮膚が青アザから黄色く変化する過程と似ています。歯の内部で起こるこの化学反応が、歯を内側から黒ずんだ色に変えてしまうのです。このタイプの変色は、比較的早い段階で現れることが多く、一度沈着すると通常の歯磨きでは除去できません。
原因3:根管治療で使われた薬剤が影響する
意外に思われるかもしれませんが、過去の歯科治療で用いられた薬剤や材料が原因で、歯が変色するケースも存在します。特に、一昔前の根管治療では、歯の神経を取り除いた後の根管を充填するために、銀を含んだ材料や特定の薬剤が使用されることがありました。
これらの材料が時間とともに酸化したり、成分が溶け出したりすることで、歯の内部、特に象牙質に色素が沈着し、歯を内側から黒く染めてしまうことがあります。ただし、現在の根管治療では、このような変色のリスクが低い、生体適合性の高い材料が主流となっています。そのため、この原因による変色は、主に過去に治療を受けた歯に見られることが多く、これから根管治療を受ける方が不必要に不安を感じる必要はありません。ご自身の歯がこのケースに該当するかは、歯科医師による精密な診断が必要です。
変色だけじゃない!神経を抜いた歯を放置する2つの大きなリスク
神経を抜いた歯、いわゆる失活歯(しっかつし)は、見た目の変色だけでなく、放置することで歯そのものに深刻なリスクをもたらすことをご存じでしょうか。多くの方が「色が気になるだけだから」と安易に考えがちですが、失活歯の問題は、歯の構造的な変化から、再び感染を引き起こす可能性まで、多岐にわたります。これは単なる審美的な問題にとどまらず、ご自身の歯の寿命や口腔全体の健康に深く関わる重要な事柄です。このセクションでは、変色以外に神経を抜いた歯を放置することで生じる2つの大きなリスクについて、詳しく掘り下げていきます。ご自身の歯を守り、長期的な健康を維持するために、ぜひ知っておいていただきたい情報です。
リスク1:歯が脆くなり、割れたり折れたりしやすくなる(歯根破折)
神経を抜いた歯は、健康な歯に比べて弾力性が失われ、非常に脆くなりがちです。これは、歯の神経(歯髄)が、歯に水分や栄養を供給する重要な役割を担っているためです。神経が失われると、歯はまるで「枯れ木」のように水分を失い、乾燥して硬くなります。その結果、日常の食事で硬いものを噛んだり、歯ぎしりや食いしばりなどの些細な力が加わったりするだけで、歯にひびが入ったり、最悪の場合は根の部分が縦に割れてしまう「歯根破折(しこんはせつ)」を引き起こすリスクが高まります。
歯根破折は、一度起こってしまうと歯を保存することが非常に難しく、多くの場合、抜歯しか治療の選択肢が残されません。ご自身の歯を失うことにつながる深刻な問題であるため、見た目の変色だけでなく、こうした構造的な脆さというリスクも十分に理解しておく必要があります。特に奥歯など、強い咀嚼力がかかる歯は、この歯根破折のリスクがより高まる傾向にあります。
リスク2:根の先で細菌が繁殖し、再治療や抜歯が必要になることも
神経を抜いた歯、つまり根管治療を施した歯であっても、時間の経過とともに再び感染を引き起こすリスクがあります。これは、過去の根管治療がわずかに不十分であったり、被せ物(クラウン)と歯の間に小さな隙間ができたりすることで、そこから口腔内の細菌が侵入し、歯の根の先端部分で繁殖してしまうためです。根の先に細菌の塊(病巣)が形成されると、周囲の骨を溶かし始め、放置すると顎の骨全体に影響を及ぼす可能性もあります。
この再感染の厄介な点は、すでに神経がないため、痛みなどの自覚症状が出にくいことです。そのため、患者さん自身が気づかないうちに病状が進行し、定期検診時のレントゲン撮影で初めて発見されるケースも少なくありません。もし再感染が確認された場合、再び根管治療(感染根管治療)を行う必要がありますが、治療は非常に複雑で、場合によっては抜歯せざるを得ない状況に陥ることもあります。このような事態を避けるためにも、神経を抜いた歯がある場合は、定期的な歯科検診を欠かさず受けることが非常に重要です。
変色してしまった歯を白くする治療法とは?代表的な選択肢を比較
神経を抜いた歯が変色してしまった時、「もうこの歯は元に戻らないのではないか」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の歯科医療では、変色してしまった歯を再び白く、自然な見た目に戻すための有効な治療法が確立されています。ここでは、その代表的な選択肢として「ウォーキングブリーチ」と「セラミック治療」の2つをご紹介します。
これらの治療法は、それぞれ異なる特徴を持っており、歯をどれくらい削るのか、費用はどのくらいかかるのか、そしてどれくらい長く白さを維持できるのかといった点で違いがあります。そのため、患者様ご自身の「何を最も重視したいか」というご希望や、歯の状態によって最適な選択肢は変わってきます。
このセクションでは、それぞれの治療法がどのようなものなのか、そしてメリット・デメリットを詳しく比較検討していきます。ご自身の状況や希望に合った治療法を見つけるための情報として、ぜひお役立てください。
選択肢1:歯の内側から漂白する「ウォーキングブリーチ」
ウォーキングブリーチは、神経を抜いた歯(失活歯)が変色してしまった際に、歯を削る量を最小限に抑えながら、歯の内側から白くしていく治療法です。
具体的には、まず変色した歯の裏側に小さな穴を開けます。これは、歯の内部に薬剤を入れるためのものです。次に、過去に行われた根管治療がしっかりと行われているかを確認し、問題がなければ、歯の内部に過酸化水素を主成分とする特殊な漂白剤を注入します。漂白剤が漏れないように仮の蓋をして、そのまま数週間、日常生活を送っていただきます。
この「日常生活を送りながら(ウォーキングしながら)歯を白くしていく」という特徴から、「ウォーキングブリーチ」という名前がつけられています。数週間後に再度ご来院いただき、歯の白さの変化を確認します。もし、まだ希望の白さに達していない場合は、再び漂白剤を交換し、このプロセスを数回繰り返すことで、徐々に歯を内側から白くしていきます。
ウォーキングブリーチのメリット・デメリット
ウォーキングブリーチは、手軽に変色歯を白くできる治療法ですが、利点と欠点を理解した上で選択することが大切です。
メリット
歯をほとんど削らずに治療ができるため、ご自身の歯へのダメージが非常に少ないです。
セラミック治療と比較して、費用を抑えることができます。
デメリット
治療後、数年で徐々に色が元に戻ってしまう可能性があります。
最終的な白さのコントロールが難しく、ご希望通りの色にならない場合や、隣の歯との色調を完全に合わせることが難しいことがあります。
歯に大きな詰め物が入っている場合や、歯の状態によっては治療が適用できないことがあります。
ごく稀に、歯の根の組織が吸収されてしまう「外部吸収」という合併症が起こるリスクがあります。
選択肢2:歯を全体的に覆って美しく補強する「セラミック治療」
セラミック治療は、変色してしまった歯を削り、その上からセラミック製の人工歯を装着することで、色と形の両方を美しく整える治療法です。ウォーキングブリーチが歯の内部を漂白することで白くする「漂白」のアプローチであるのに対し、セラミック治療は歯を「修復・補強」しながら見た目を改善するアプローチと言えます。
この治療では、単に見た目の色や形を改善するだけでなく、神経を抜いたことで脆くなってしまった歯をセラミックの人工歯で全体的に覆い補強することで、歯が割れたり折れたりするリスクを低減するという重要な役割も果たします。特に、奥歯など噛む力が強くかかる部分の変色歯には、見た目の改善と同時に強度を高めるセラミック治療が適している場合が多いです。
セラミッククラウン(被せ物)とラミネートベニアの違い
セラミック治療には、大きく分けて「セラミッククラウン(被せ物)」と「ラミネートベニア」の2つの方法があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の歯の状態や希望に合わせて選択することが重要です。
セラミッククラウン(被せ物)セラミッククラウンは、変色した歯を全体的に削り、その上から王冠(クラウン)のようにセラミック製の人工歯をすっぽりと被せる治療法です。歯全体を覆うため、色の改善効果が最も高く、隣接する歯の色に合わせて非常に自然な白さを再現できます。また、神経を抜いて脆くなった歯を全体的に補強できるため、強度に不安がある場合や、広範囲に変色している場合に特に適しています。
ラミネートベニアラミネートベニアは、歯の表面(特に唇側の見える部分)を薄く一層だけ削り、その上から付け爪のような薄いセラミックのシェルを貼り付ける治療法です。歯を削る量が非常に少ないのが特徴で、主に前歯の色や形の軽微な修正、小さな隙間を埋める目的で用いられます。歯の強度がある程度保たれており、部分的な変色や形態の修正を希望する場合に適しています。
このように、セラミッククラウンは歯の全体的な修復・補強を目的とし、ラミネートベニアは歯の表面を審美的に整えることに特化しています。どちらの治療法が適しているかは、歯の変色の度合い、位置、元の歯の強度などによって歯科医師が総合的に判断します。
セラミック治療のメリット・デメリット
セラミック治療は、高い審美性と機能性を兼ね備えた治療法ですが、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが重要です。
メリット
セラミックは吸水性が低く、ほとんど色の後戻りがありません。そのため、治療後も長期間にわたって美しい白さを維持できます。
天然歯に近い透明感と光沢を持つセラミック素材を使用するため、隣の歯の色や周囲の歯並びに合わせて、非常に自然で精密な色合いを再現することが可能です。
歯の形や大きさ、わずかな隙間など、見た目の細かな調整も同時に行えるため、口元全体の印象を大きく改善できます。
特にセラミッククラウンの場合、神経を抜いて脆くなった歯を全体的に覆い補強することで、歯が割れる「破折」のリスクを低減し、歯の寿命を延ばす効果も期待できます。
金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がなく、歯茎が黒ずむ「ブラックライン」も生じません。
デメリット
ウォーキングブリーチと比較して、治療にかかる費用が高額になります。
セラミッククラウンやラミネートベニアを装着するためには、少なからず歯を削る必要があります。特にクラウンは歯を削る量が比較的多くなります。
非常に硬い素材ですが、強い衝撃や噛み合わせによっては、ごく稀にセラミックが欠けたり割れたりするリスクがゼロではありません。
治療後に外れたり、土台の歯との間に隙間が生じて二次的な虫歯になる可能性も考慮し、定期的な検診と適切なメンテナンスが不可欠です。
【目的別】あなたに合う治療法はどっち?選び方のポイント
これまでウォーキングブリーチとセラミック治療、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。これらの情報を踏まえ、ご自身の歯の状態や「何を最も重視するか」という視点から、最適な治療法を選んでいくことが大切です。費用を抑えたい、歯を削りたくないといったご希望から、色の持続性、歯の形の修正まで、判断基準はさまざまです。このセクションでは、それぞれの目的に合った治療法を具体的にご紹介しますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、最適な選択を見つける参考にしてください。
「なるべく歯を削りたくない」「費用を抑えたい」ならウォーキングブリーチ
「自分の歯をできるだけ残したい」というお気持ちや、「まずは低コストで試してみたい」というお考えをお持ちの方には、ウォーキングブリーチが第一の選択肢となるでしょう。ウォーキングブリーチは、歯の内部に漂白剤を入れて内側から歯を白くしていく治療法で、歯を大きく削る必要がない点が大きな特徴です。健康な歯へのダメージを最小限に抑えたいと考える方にとって、この保存的なアプローチは非常に魅力的です。
また、セラミック治療と比較して費用を抑えられるため、審美治療を検討する上での経済的なハードルが低いこともメリットです。ただし、数年で色が元に戻る可能性や、希望通りの白さにならない場合があるといった点も理解しておく必要があります。もし、これらの点を許容できるのであれば、まずはウォーキングブリーチを試してみる価値は十分にあります。しかし、歯の状態によってはウォーキングブリーチが適用できないケースもありますので、最終的な判断は必ず歯科医師との相談の上で行うようにしてください。
「色の後戻りを防ぎたい」「歯の形も整えたい」ならセラミック治療
「治療後に色が元に戻るのは絶対に避けたい」「変色だけでなく、歯の形や大きさ、わずかな隙間も一緒にきれいにしたい」というように、高い審美性と長期的な安定性を求める方には、セラミック治療が最適な選択肢となるでしょう。セラミックは非常に安定した素材であるため、時間の経過による色の後戻りがほとんどなく、長期間にわたって美しい白さを維持できます。
また、セラミック治療では、天然歯のような透明感や光沢を再現できるため、周囲の歯と調和した自然な仕上がりが期待できます。特にセラミッククラウンは、神経を抜いて脆くなった歯を全体的に覆うことで、見た目を改善するだけでなく、歯の補強効果も期待できます。歯が割れてしまうリスクを低減し、歯の寿命を延ばすことにもつながりますので、見た目の美しさと歯の健康を両立させたい方に適しています。初期費用はウォーキングブリーチよりも高くなりますが、再治療の手間や長期的な満足度を考慮すれば、結果的に価値の高い投資になると言えるでしょう。
治療にかかる費用や期間の目安
神経を抜いた歯の変色治療を検討される際、多くの方が気になるのが「費用と期間」ではないでしょうか。ここからは、これまでご紹介したウォーキングブリーチとセラミック治療にかかる一般的な費用と期間の目安について解説していきます。ただし、これからお話しする金額や期間は、あくまで一般的な相場であり、治療を受ける歯科医院や患者様一人ひとりの歯の状態によって大きく変動する可能性があります。自由診療である審美治療では、各医院が独自の料金設定を行っているため、正確な情報は必ず歯科医院でのカウンセリング時に確認するようにしてください。
ウォーキングブリーチの費用・期間
ウォーキングブリーチは、歯をほとんど削らずに内部から白くしていく治療法です。この治療にかかる費用と期間の目安は以下のようになります。
費用:1歯あたり数千円から数万円程度が一般的です。多くの場合、漂白剤を交換するたびに費用が発生するケースや、一連の治療として費用が設定されているケースなど、歯科医院によって料金体系が異なります。
期間:初回の処置から、ご希望の白さになるまでには2週間から4週間程度かかるのが一般的です。漂白剤の交換のため、通院回数は2回から4回程度を目安としてください。ご自身のペースで無理なく通院できるため、お忙しい方にも比較的受けやすい治療と言えるでしょう。
セラミック治療の費用・期間
セラミック治療は、変色した歯を削り、セラミック製の人工歯で覆うことで、見た目と機能を回復させる治療法です。費用と期間は、ウォーキングブリーチと比較すると高額になる傾向がありますが、その分、高い審美性と耐久性が期待できます。
費用:ラミネートベニアの場合、1歯あたり数万円から十数万円、セラミッククラウンの場合、1歯あたり十数万円から二十万円程度が相場です。使用するセラミックの種類(例:ジルコニア、e.maxなど)によっても価格が異なります。
期間:歯を削って型取りを行い、完成したセラミックを装着するまで、通常2回から3回の通院で完了します。期間としては、2週間から1ヶ月程度が目安となることが多いです。短期間で大きな審美改善を実感したい方にとっては魅力的な選択肢となるでしょう。
保険は適用される?自由診療との違い
神経を抜いた歯の変色に対する審美治療は、公的医療保険の対象となるのでしょうか。結論からお話しすると、ウォーキングブリーチやセラミック治療(ラミネートベニア、オールセラミッククラウンなど)は、原則として保険適用外の「自由診療」となります。
これは、これらの治療が「病気の治療」というよりも、見た目を改善する「審美目的」の治療とみなされるためです。保険診療が、虫歯や歯周病などの病気を治療し、歯の機能回復を主目的とするのに対し、自由診療は使用できる材料や治療法に制約がありません。そのため、患者様のご要望に応じて、より高い審美性や快適性を追求できるという違いがあります。見た目の美しさや素材の質にこだわりたい場合は、自由診療の選択肢を検討することになります。
神経を抜いた歯の変色に関するQ&A
ここまで、神経を抜いた歯が黒く変色する原因や、放置するリスク、そして具体的な治療法について詳しく解説してきました。このセクションでは、さらに具体的な疑問にお答えしていきます。一問一答形式で分かりやすく疑問を解消し、変色した歯に関する不安を一つでも多く解消できるよう努めます。
Q. 治療に痛みはありますか?
神経を抜いた歯の治療における痛みについてご心配される方は多くいらっしゃいます。結論から申し上げますと、治療対象の歯はすでに神経が除去されていますので、ウォーキングブリーチのために歯に小さな穴を開けたり、セラミック治療のために歯を削ったりする際に、歯そのものが痛みを感じることは基本的にありません。
しかし、全くの無痛というわけではありません。治療中に歯茎に器具が触れる際のわずかな違和感や、顎を長時間開けていることによる疲労感などを感じることはあります。痛みに敏感な方や不安が強い方には、必要に応じて麻酔を使用することも可能ですのでご安心ください。麻酔を使用すれば、ほとんど痛みを感じずに治療を受けていただくことができます。治療内容や体質によって感じ方は異なりますので、治療前に担当の歯科医師に相談し、不安な点をしっかり伝えておくことが大切です。
Q. 市販のホワイトニングでは白くなりませんか?
「市販のホワイトニング製品で、神経を抜いた歯の変色も改善できるのでは」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながら、市販されているホワイトニング歯磨き粉やジェル、マウスウォッシュといった製品で、神経を抜いた歯の変色を白くすることはほとんど期待できません。
これらの市販製品の主な目的は、歯の表面に付着したコーヒー、紅茶、タバコなどによる着色汚れ(外因性ステイン)を除去することです。一方、神経を抜いた歯の変色は、歯の内部、特に象牙質の変性や、血液成分、古い充填材などが原因で起こる「内因性ステイン」に分類されます。歯の内部で起こっている変色に対して、歯の表面に作用する市販のホワイトニング剤は効果を発揮しないのです。神経を抜いた歯の変色を根本的に改善するためには、歯科医院でのウォーキングブリーチやセラミック治療のような専門的な治療が必要となります。
Q. 昔治療した歯でも白くできますか?
はい、昔治療した歯、つまり過去に神経を抜いて根管治療を受けた歯であっても、多くの場合で白くすることが可能です。諦めていた方も、ぜひ一度歯科医院にご相談ください。
ただし、審美治療を始める前には、いくつかの重要な確認作業が必要です。まず、レントゲン撮影などを用いて、以前に行われた根管治療の状態を精密に検査します。根管内に感染が再発していないか、また根管充填が適切に行われているかを慎重にチェックするのです。もし、根の先に感染が見つかった場合や、根管治療に問題がある場合は、審美治療を行う前に、まずその感染を取り除くための再根管治療を優先的に行う必要があります。これは、せっかく審美治療を行っても、内部に問題が残っていては長持ちしないだけでなく、痛みや腫れの原因となる可能性があるためです。根の状態が良好であることが確認できれば、ウォーキングブリーチやセラミック治療といった審美治療に進むことができます。安全かつ確実に歯の白さを取り戻すために、この初期検査は非常に重要なステップとなります。
まとめ:変色した歯は適切な治療で白さを取り戻せる!まずは歯科医院で相談しよう
神経を抜いた歯が黒く変色する原因は、歯の内部構造の変化、血液成分の沈着、過去の治療材料の影響など、科学的に解明されています。この変色は、単に見た目の問題だけでなく、歯が脆くなり、将来的に割れてしまう「歯根破折」や、根の先端で細菌が再び繁殖するといった、機能的なリスクも伴う重要な問題です。
しかし、「もう元には戻らない」と諦める必要は一切ありません。現代の歯科医療には、変色してしまった歯を再び白く、そして自然な見た目に戻すための有効な治療法が複数存在します。歯をほとんど削らずに内部から白くする「ウォーキングブリーチ」や、歯の色と形を美しく整えながら補強もできる「セラミック治療」など、患者さん一人ひとりの状況や希望に応じた選択肢があります。
最適な治療法は、お口の状態、どの程度の白さを求めるか、治療にかけられる費用や期間、そして歯を削る量に対する考え方などによって異なります。この記事を読んで、ご自身の歯の変色について少しでも気になった方は、一人で悩まずに信頼できる歯科医師に相談することが、自信を持って笑顔になれる未来への最も確実な第一歩です。まずは歯科医院で、ご自身の歯の状態に合った治療法について詳しく話を聞いてみましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
龍ケ崎市・竜ヶ崎駅の歯医者
『小野瀬歯科医院』
TEL:0297-62-0130



