むし歯治療

最近は、むし歯治療の数は減っていますが、進行していても痛みを伴わないケースもあり、痛くなってから来院される患者さまが少なくありません。どんなむし歯でも、できるだけ早期治療が望ましいです。深刻な段階になればなるほど、歯を救うのが困難になり、時間も費用もかかります。むし歯治療において当院で心がけているのは、再発予防のためにも、まず感染している箇所をきちんと取り除くこと。古いむし歯ならレーザーを使って痛みもなく削れる場合もありますが、患部がある程度の深さに達していると、麻酔を使用した上で神経を取り除くなど複雑な治療が必要になります。
しかし、神経のない歯は枯木と同じで、もろくなり割れたりしやすく、さらにむし歯が進行しやすいので、その歯の将来の健康を考えると、患者さまにはできるだけ神経を温存する治療が大切であるとご提案します。また、むし歯の補綴(ほてつ)治療(被せ物、詰め物をする)にもいろいろな方法があるので、患者さまと相談しながら治療を進めます。
むし歯の進行状態
(Co~C4)と
治療方法
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- ● 初期むし歯(Co)
- 初期であれば、歯を削らずに歯が持つ再石灰化の作用によって健康な歯に戻すことができます。この時、歯の表面は溶かされツヤががなくなり、白く濁った色または茶色に見えることがあります。
自覚症状 痛みなどの自覚症状はありません。 処 置 フッ素配合の歯磨き粉を使ったり、歯科医院でフッ素塗布などを受けましょう。
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- ● むし歯(C1)
- 歯の1番外側を覆っているエナメル質が溶かされた状態です。見た目の変化はあまりなく、小さな黒ずみが出る程度なので、気づかないことが多いです。
自覚症状 痛みや腫れなどは、ほぼ感じられません。 処 置 患部を削り、歯科用プラスチックなどを使って詰め物をします。
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- ● 象牙質まで進んだむし歯(C2)
- エナメル質の下にある象牙質まで達した状態です。
自覚症状 甘いものや冷たいものを口にすると、痛みや刺激を感じることがあります。むし歯の穴が深くなると、温かいものでも痛みを感じるようになります。 処 置 患部を削って型を取り、歯科用の金属やセラミックなどを使って詰め物・被せ物をします。
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- ● 神経まで進んだむし歯(C3)
- 象牙質のさらに奥にある神経の部分(歯髄)まで達した状態です。
自覚症状 何もしなくてもズキズキと痛みを感じることがあり、腫れを伴うこともあります。 処 置 歯の状態を確認し、保存できる場合は神経を洗浄、もしくは神経を抜く(抜髄)治療を行います。保存できずに他に選択肢がない場合、抜歯となることがあります。
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- ● 歯根だけ残ったむし歯(C4)
- むし歯が歯の根まで達し、歯肉から上の部分(歯冠部)が溶けてなくなった状態です。
自覚症状 菌に侵された神経が死んでしまうため、むし歯による痛みなどの症状は出ません。しかし、この状態で放置すると歯根の先が炎症を起こしたり、全身の健康にトラブルが発生したりする可能性があります。 処 置 歯を残す治療もできない状態なので、抜歯となります。歯のない部分を補うために、入れ歯などの義歯を入れます。
根管治療とは

主にむし歯治療の延長線上で行う治療です。むし歯菌が歯の内部=根管内で神経にまで達したり、神経が炎症を起こしたりすると、歯の痛みや違和感、冷たいものがしみるなどの不快な症状が出ます。
その時点で治療せずに放置すると、最悪の場合、抜歯ということになりかねません。そうした症状を解消するために、そして抜歯を回避するため、神経を除去して根管内部を洗浄・消毒することで、根管内にまで達したむし歯菌を確実に取り除き、さらに再感染を防いで、なるべく健康な状態にもっていこうとするのが根管治療です。また、以前治療したむし歯は根管も感染していたり、そこに膿がたまったりすることがあるので、そうした場合にも再度根管治療が必要になります。
しかし当院では、歯の機能や寿命を考えて、神経は取らずに歯を温存する治療を重視しています。できる限り神経を残して、根管内からむし歯菌を確実に除去する方法(生活歯髄療法)によって完治を目指します。
根管治療はとても繊細な治療です。そこで、まず患部をCT撮影して、診断を行った後、目では見えない根管内をマイクロスコープでチェックしながら、状態に合わせて専門の器具を用いて治療します。治療後も経過観察を行い、必要に応じて別途治療を行う場合もあります。
入れ歯(義歯)治療とは

むし歯や歯周病が原因で歯を失ったとき、代わりにブリッジ、入れ歯、インプラントという方法で埋め合わせることができます。それぞれにメリット・デメリットがあるので、患者さまには丁寧にご説明しますが、とりわけ入れ歯については、以前に比べて性能の進歩が著しく、選択肢が一段と広がっています。入れ歯の弱点ともいえる金属の留め金を使わないものや、見た目が自然なもの、自分の歯のように噛めるもの、保険内でも違和感の少ないものなど、さまざまな種類があります。患者さまのお口の状況やご希望によっては、相談・検討に時間をかけて、患者さまの納得のいく適切な入れ歯をご提供します。
とはいえ、同じ選択肢でも、実は入れ歯では自分の歯の15~30%程度しか噛む力を回復できません。それなのに、入れ歯のほんのわずかな高さのずれが顎の関節に影響を及ぼし、開口できなくなるなどのトラブルが起こるケースも。そこで当院では、入れ歯をつくる際には、咬み合わせの精密さに特に気を配っています。
歯科口腔外科

歯科口腔外科といえば、親知らずの抜歯が最も一般的です。最近は、むし歯で抜歯をするようなケースが少なくなりましたが、ほかの健康な歯に悪影響を及ぼす恐れのある親知らずは早めに「抜いておく」ことをおすすめします。狭い奥歯のスペースに斜めに生えた場合は、親知らず自体とその手前の奥歯のケアがむずかしく、むし歯や歯周病の温床になるからです。痛みが発生する前にご相談ください。
親知らずの抜歯以外にも、事故などで負った口や顎の外傷治療、顎の骨折、摂食嚥下障害、口腔内や顔面に発症するガンなど、外科的治療を要する幅広い領域をカバーするのが歯科口腔外科です。ただし、親知らずの抜歯などの基本治療以外で、より高度な治療が必要と判断された場合は、専門医院をご紹介します。