歯並びとインプラント、同時改善の可能性を探る
2025年11月15日

歯並びの乱れと歯の欠損、これら二つの口腔内の悩みを同時に抱えている方は少なくありません。人前で自信を持って話せない、食事がしにくいといった機能的な問題から、見た目のコンプレックスまで、その悩みは多岐にわたります。インプラントで失った歯を補いつつ、歯列矯正で美しい歯並びも手に入れたいと考えるのは自然なことです。しかし、「どちらを先にすべきか」「同時に治療できるのか」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。この記事では、インプラントと矯正治療を組み合わせて行う際の治療の順序、それぞれの治療で起こりうるリスク、治療期間や費用、そして後悔しない歯科医院選びのポイントまで、あなたの疑問を解消するための具体的な情報を提供します。
はじめに:歯並びとインプラント、両方の悩みを抱えていませんか?
失ってしまった歯をインプラントで補いたいと考えているものの、同時にご自身の歯並びの乱れも気になっているという方は多いのではないでしょうか。例えば、前歯の欠損をインプラントで治療したい一方で、全体的に歯並びがガタガタしているために、治療後の見た目や噛み合わせが本当に改善されるのか不安に感じることもあるかもしれません。営業職で人前に立つ機会が多い方にとっては、特に見た目の改善は切実な願いだと思います。
また、「インプラント治療と歯列矯正、どちらを先に進めるべきか分からない」「両方の治療を同時に行うことはできるのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。歯科治療は専門的な知識が必要となるため、ご自身の口腔内の状態に最適な治療法やその進め方について判断に迷うのは当然のことです。
この記事では、そのような歯並びとインプラントに関する複合的なお悩みを抱える方へ向けて、両方の問題を解決するための具体的なアプローチについて詳しく解説します。あなたの疑問を解消し、理想の口元と健康を手に入れるための一助となれば幸いです。
インプラントと矯正治療の根本的な違い
歯並びの改善と失った歯の補填は、歯科治療において多くの方が抱える課題です。しかし、インプラント治療と矯正治療は、それぞれ異なる目的と治療原理を持つため、その違いを理解することが非常に大切になります。このセクションでは、それぞれの治療がどのように機能し、何を目指すのかを明確にすることで、今後の治療順序の重要性について深く理解していただけるようご説明いたします。
インプラント治療:失った歯の機能を取り戻す治療
インプラント治療は、事故や病気などで歯を失ってしまった場合に、その失われた歯の機能と見た目を回復させることを目的とした治療法です。具体的には、外科手術によってチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、その人工歯根が骨としっかりと結合した後に、その上部にセラミックなどで作られた人工の歯を装着します。これにより、まるで自分の歯のように自然な見た目と、しっかりと噛める機能を取り戻すことができます。
この治療の大きな特徴は、人工歯根が顎の骨と直接結合することです。一度骨と結合すると、そのインプラントは顎の骨の一部として非常に強固に固定されます。そのため、天然の歯のように歯周組織を介して動くことはなく、矯正治療のように歯の位置を意図的に動かすことはできません。この「動かない」という性質が、インプラント治療と矯正治療の併用を考える上で非常に重要なポイントとなります。
矯正治療:歯を動かして歯並びと噛み合わせを整える治療
矯正治療は、乱れた歯並びや噛み合わせを整えることを目的とした歯科治療です。ワイヤーとブラケット、あるいは透明なマウスピースといった矯正装置を用いて、歯に継続的な弱い力を加えることで、歯槽骨(歯を支える骨)の中で歯をゆっくりと移動させます。これにより、一本一本の歯の位置だけでなく、上下の歯全体の噛み合わせを理想的な状態へと導きます。
この治療の根本的な原理は「自分の歯を動かす」ことにあります。歯の周囲にある歯根膜という組織が、力を受けることで骨の吸収と再生を繰り返し、徐々に歯が移動していくのです。最終的には、見た目の美しさだけでなく、咀嚼機能の向上や清掃性の改善、発音のしやすさなど、口腔内全体の健康と機能の改善を目指します。
結論:インプラントで歯並び自体は治せない
これまでの説明でお分かりいただけるように、インプラント治療と矯正治療は、それぞれ異なる目的とメカニズムを持っています。インプラントは失った歯の機能と形態を回復させるものであり、一度埋入されると顎の骨に強固に固定されて動くことはありません。
そのため、インプラント治療によって歯並びそのものを改善することはできません。もし、歯並びの乱れがある状態でインプラントを埋入すると、そのインプラントは動かせない「固定源」となるため、その後の矯正治療の計画に大きな制約が生じる可能性があります。歯並び全体を根本的に改善したいのであれば、インプラントとは別に矯正治療を行う必要があります。
歯並びが悪いままインプラント治療を受けることの4つのリスク
歯並びが悪い状態でインプラント治療を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、単に失った歯を補うだけでなく、お口全体の長期的な健康を考える上で、歯並びの改善を先に検討することが非常に重要です。このセクションでは、歯並びが悪いままインプラント治療を行うことで生じる4つの具体的なリスクについて詳しく解説いたします。
リスク1:噛み合わせの不具合による過剰な負担
歯並びが悪い状態でインプラント治療を行うと、インプラントや周囲の天然歯に不均衡な力がかかりやすくなります。特定の歯に過剰な力が集中すると、インプラントの上部構造である人工歯が欠けたり、割れたりする破損のリスクが高まります。
また、インプラントを支える顎の骨にも過度な負担がかかるため、インプラント周囲の骨が吸収されてしまう可能性も考えられます。これはインプラントの安定性を損ない、寿命を縮める原因にもなります。理想的な噛み合わせは、お口全体の健康を維持するために不可欠です。
リスク2:清掃不良によるインプラント周囲炎の可能性
歯並びが悪いと、歯と歯の間や歯と歯茎の境目など、歯ブラシの毛先が届きにくい「清掃困難部位」が増えてしまいます。このような場所に磨き残しがあると、プラーク(歯垢)が溜まりやすくなり、細菌が繁殖しやすい環境を作り出してしまいます。
特にインプラントの周りにプラークが蓄積すると、「インプラント周囲炎」と呼ばれる炎症を引き起こす可能性が高まります。インプラント周囲炎は、歯周病と同様に進行するとインプラントを支える骨が溶けていき、最終的にはインプラントが脱落してしまうこともある、非常に警戒すべき合併症です。歯並びを整えることで清掃性が向上し、インプラント周囲炎のリスクを大幅に低減できます。
リスク3:見た目の仕上がりが不自然になる
インプラントを埋入する際、理想的な歯並びが整っていないと、人工歯の見た目が不自然になることがあります。例えば、隣り合う歯が傾いていたり、歯茎のラインが揃っていなかったりすると、せっかくインプラントで歯を補っても、人工歯だけが浮いて見えたり、歯並び全体のバランスが悪く見えたりする可能性があります。
矯正治療によって歯並びや歯茎のラインを事前に整えておくことで、インプラントを最も審美的に美しい位置に配置できるようになります。これにより、人工歯が周囲の天然歯と調和し、より自然で美しい口元を実現できるのです。
リスク4:インプラントや周囲の歯の寿命が短くなる
これまでに挙げた「噛み合わせの不具合による過剰な負担」や「清掃不良によるインプラント周囲炎」といったリスクは、一つ一つがインプラントや周囲の天然歯の寿命を縮める要因となります。これらの問題が複合的に発生することで、インプラントの安定性が損なわれ、早期にトラブルが発生する可能性が高まります。
インプラント治療は、高額な費用と長い治療期間を要する投資です。その投資を最大限に活かし、インプラントをできるだけ長持ちさせるためには、まずお口全体の環境を健康な状態に整えることが不可欠です。歯並びを改善することで、インプラントだけでなく、残された天然歯も含めた口腔全体の健康寿命を延ばすことにつながります。
歯並び改善とインプラント、理想的な治療の順番とは?
歯を失ってしまった部分をインプラントで補いながら、全体の歯並びもきれいにしたいと考える方は少なくありません。しかし、どちらの治療を先に進めるべきか、あるいは同時に進めることは可能なのか、という疑問は尽きないことでしょう。このセクションでは、歯並びの改善とインプラント治療を両方行う場合の、最適な治療の順序について詳しく解説します。原則となる考え方から、状況に応じた例外的なケースまで、専門的な視点からその理由と具体的な進め方をご説明しますので、ぜひ治療計画を立てる上での参考にしてください。
原則は「矯正治療が先、インプラントが後」
歯並びの改善とインプラント治療を組み合わせる場合、長期的な成功と口腔全体の健康、そして美しい仕上がりを考慮すると、「矯正治療が先、インプラント治療が後」というのが治療順序の最も重要な原則となります。この原則は、ただ単に失った歯を補うだけでなく、口腔内の機能を最大限に引き出し、審美性も追求するための基本となる考え方です。
この順序を守ることで、治療後にインプラントが口の中で理想的な状態で機能し続け、また周囲の天然歯との調和もとれた美しい口元を実現しやすくなります。治療を検討される際には、この原則をまず頭に入れていただくことが、後悔のない選択につながるでしょう。
なぜ矯正治療を先に行うべきなのか?
矯正治療をインプラント治療に先行させることには、明確な理由がいくつかあります。まず一つ目に、矯正治療によってインプラントを埋め込むための適切なスペースを確保できるという点です。歯並びが乱れていると、歯が傾いていたり、失われた歯の両隣の歯が倒れ込んできたりして、インプラントを理想的な位置に埋入するための十分な空間がない場合があります。矯正治療で歯を正しい位置に動かすことで、インプラントの土台となる顎の骨に対して、最も適切な角度と位置に人工歯根を埋入できるようになり、機能的にも審美的にも安定した結果につながります。
二つ目の理由は、口腔全体の噛み合わせを最適化できることです。矯正治療は、単に歯をきれいに並べるだけでなく、上下の歯が正しく噛み合うように調整する治療です。全体の噛み合わせが整うことで、インプラントにかかる負担が均等に分散され、特定の箇所に過度な力が集中することを防ぎます。これにより、インプラントの破損リスクを低減し、長期的な安定性を高めることができます。
そして三つ目に、先にインプラントを埋入してしまうと、それが矯正治療における歯の移動の障害となってしまうという重要な問題があります。インプラントは顎の骨と強固に結合するため、一度埋入すると天然歯のように動かすことはできません。もしインプラントが既に入っている状態で矯正を始めると、そのインプラントを避けるように歯を動かさなければならず、治療の選択肢が大幅に制限されたり、理想的な歯並びを実現できなかったりする可能性が高まります。矯正治療で全体の環境を整えてからインプラントを入れることで、そのような制約を受けることなく、より自由度の高い治療計画を立てることが可能になります。
例外はある?インプラント治療を優先するケース
原則として「矯正治療が先、インプラントが後」とお伝えしましたが、患者様の口腔内の状態や治療計画によっては、例外的にインプラント治療を優先したり、矯正治療と並行して進めたりするケースも存在します。例えば、重度の虫歯や歯周病で抜歯が必要な歯があり、その部分に早期にインプラントを埋入することで、隣接する歯が倒れてくるのを防ぎ、結果的に矯正治療を有利に進められる場合があります。特に、奥歯にインプラントを埋入し、それを動かない固定源(アンカー)として利用することで、前歯を効率的に動かすといった治療計画が立てられることもあります。
また、ごく稀なケースではありますが、矯正治療による歯の移動にほとんど影響を与えない部位、例えば歯列の最後方に位置する奥歯の欠損部位に、矯正治療開始前にインプラントを先に入れることも検討される場合があります。しかし、この判断は非常に専門的な知識と経験を要するため、歯科医師が患者様の口腔全体の状況を精密に診断し、矯正専門医とインプラント専門医が綿密に連携した上で慎重に決定されます。
このような例外的なケースはあくまで個々の状況によるため、自己判断せずに、必ず専門の歯科医師と十分に相談し、ご自身の症例にとって最適な治療順序を見極めることが重要です。
すでにインプラントがある場合の矯正治療は可能?
すでにインプラント治療を受けている方が、後から歯並びを整えたいと考えるケースも少なくありません。過去に入れたインプラントがある場合でも、歯列矯正は可能なのか、どのような制約があるのかといった疑問に対し、このセクションでは詳しく解説します。
治療は可能だが制約が伴う
インプラントがすでに埋入されている場合でも、矯正治療自体は可能です。しかし、天然の歯とは異なり、インプラントは顎の骨にしっかりと固定されているため、矯正治療で動かすことはできません。この「インプラントは動かせない」という点が、治療計画において最も大きな制約となります。
そのため、矯正治療ではインプラントの位置を固定源として利用し、その周囲にある天然の歯を動かすという限定的なアプローチがとられます。結果として、インプラントがない場合と比較して、理想とする歯並びの実現が難しいケースや、治療の選択肢が狭まる可能性があります。
インプラントの位置によって治療計画が変わる
既存のインプラントが、歯並び全体にとって比較的良好な位置にある場合は、そのインプラントを維持しつつ、周囲の歯を動かすことで歯列を整える治療計画が立てられます。この場合、インプラントは矯正治療における「動かない支点」として機能し、他の歯を効率的に移動させるのに役立つこともあります。
一方で、インプラントの位置が矯正治療の妨げとなる場合や、理想的な噛み合わせを確立する上で障害となる場合は、治療計画はより複雑になります。例えば、インプラントが邪魔で特定の歯を希望する位置に動かせない、あるいは、インプラントの位置を基準にすると全体の歯並びが不自然になる、といった状況が考えられます。最悪の場合、一度インプラントを除去し、矯正治療後に改めてインプラントを埋入し直すといった、患者様の負担が大きくなる選択肢を検討しなければならない可能性もあります。
治療の進め方と期間・費用の目安
歯並びの改善とインプラント治療を両方検討されている方にとって、具体的な治療の流れやどのくらいの期間がかかるのか、そして費用はどのくらいになるのかは、非常に重要な関心事かと思います。ここでは、これらの複合的な治療を進める上での実用的な情報について、専門的な観点から詳しく解説していきます。
精密検査と治療計画の重要性
歯並びの矯正とインプラント治療を組み合わせる場合、成功の鍵を握るのは精密な検査とそれに基づく治療計画の立案です。これらの治療はそれぞれ高度な専門性が求められ、お口の中の状態も患者さん一人ひとり異なります。そのため、まずはお口全体の状態を正確に把握するための詳細な検査が不可欠となります。
具体的には、顎の骨の状態を三次元的に把握できる歯科用CT(コーンビームCT)を用いた検査を行います。これにより、インプラントを安全に埋入できる骨の量や質、神経や血管の位置関係を正確に確認できます。また、歯型を採取して現在の噛み合わせを分析したり、セファロ分析と呼ばれる頭部X線規格写真を用いて顎の骨格や歯の傾きを詳細に評価したりします。これらのデータを総合的に分析し、必要に応じて3Dシミュレーションも活用しながら、矯正専門医とインプラント専門医が連携し、包括的かつ最適な治療計画を立てていくことが非常に大切です。
治療期間の目安
歯並びの矯正とインプラント治療を組み合わせる場合、トータルの治療期間は「矯正治療期間」と「インプラント治療期間」の合計として考える必要があります。両方の治療を並行して進めることは基本的に難しいため、全体の治療期間は長期にわたることが一般的です。
まず、矯正治療の期間は、歯並びの状態や選択する矯正方法によって大きく異なりますが、一般的には1年から3年程度が目安となります。矯正治療によって歯並びや噛み合わせが整い、インプラントを埋入するのに最適な環境が整った後に、インプラント治療へと移行します。インプラントの埋入手術自体は短時間で終わりますが、顎の骨とインプラントがしっかりと結合するまでに3ヶ月から6ヶ月程度の治癒期間が必要です。その後、上部構造(人工歯)を装着するまでの期間を含めると、インプラント1本あたりの治療期間は3ヶ月から1年程度かかるのが一般的です。したがって、両方の治療を合わせた全体の期間は、数年単位の計画が必要となることを理解しておくことが大切です。
費用の目安と医療費控除について
矯正治療とインプラント治療は、いずれも原則として健康保険が適用されない自由診療となるため、費用は全額自己負担となります。そのため、治療費用は高額になる傾向があります。矯正治療の費用は、一般的な目安として80万円から150万円程度が多いですが、治療方法(ワイヤー矯正かマウスピース矯正かなど)や歯並びの難易度によって変動します。インプラント治療は、1本あたり40万円から60万円程度が相場とされていますが、これも使用するインプラントの種類や骨の状態、上部構造の素材などによって費用は変わってきます。
両方の治療を組み合わせる場合、総額はかなり高額になることが予想されますが、年間の医療費が一定額を超えた場合には「医療費控除」の対象となる可能性があります。医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が10万円(所得に応じて異なる場合もあります)を超えた場合に、その超えた部分の金額に応じて所得税が還付される制度です。矯正治療やインプラント治療の費用もこの医療費控除の対象となりますので、確定申告の際に申請することで、税金負担を軽減できる可能性があります。領収書は必ず保管し、治療を受ける歯科医院に相談して詳細を確認することをおすすめします。
後悔しないための歯科医院選びのポイント
インプラント治療と矯正治療は、どちらも高度な専門知識と技術が求められる歯科治療です。これらの治療を安心して、そして成功させるためには、適切な歯科医院を選ぶことが非常に重要です。ここでは、後悔しないために注目すべき歯科医院選びの具体的なポイントを3つご紹介します。
インプラントと矯正の両方に精通した歯科医師が在籍しているか
インプラント治療と矯正治療は、それぞれ異なる専門分野です。それぞれの治療を専門とする歯科医師が在籍している歯科医院、または両方の治療に精通した歯科医師がいる医院を選ぶことが、治療を成功させるための重要なポイントとなります。
理想的なのは、インプラントと矯正の専門医が同じ医院内にいて、密に連携しながら治療計画を立ててくれる体制が整っている歯科医院です。これにより、口腔内全体の健康と審美性を考慮した、一貫性のある質の高い治療計画が期待できます。例えば、矯正治療で歯を動かした後のインプラント埋入位置について、両方の専門家が事前に綿密に話し合うことで、より機能的で美しい仕上がりを実現できるでしょう。
精密な診断が可能な設備が整っているか
インプラント治療と矯正治療は、顎の骨や歯の状態を正確に把握することが成功の鍵となります。そのため、精密な診断を可能にする先進的な医療設備が整っている歯科医院を選ぶことが非常に重要です。
具体的には、顎の骨の厚みや神経・血管の位置を三次元的に詳細に確認できる歯科用CT(コーンビームCT)は必須の設備と言えるでしょう。これにより、インプラントを埋入する際の安全性と正確性が格段に向上します。また、矯正治療においては、歯の動きをシミュレーションするソフトウェアや、精密な歯型を採取するための口腔内スキャナーなどが充実していると、より正確で効果的な治療計画が期待できます。
カウンセリングで納得のいく説明が受けられるか
歯科治療、特にインプラントと矯正を組み合わせるような複雑な治療では、患者様と歯科医師との信頼関係が何よりも大切です。そのため、初診時のカウンセリングで、十分に納得できる説明が受けられるかどうかは、医院選びの重要な判断基準となります。
患者様の悩みや希望を丁寧にヒアリングし、治療計画、期間、費用、リスク、そして代替案に至るまで、専門用語を避けながら分かりやすく説明してくれる歯科医師を選ぶべきです。もし、説明が一方的であったり、質問しにくい雰囲気だったりする場合には、他の歯科医院も検討することをおすすめします。治療内容を深く理解し、納得した上で治療を開始できる環境が整っていることが、後悔のない治療へとつながります。
まとめ:歯並びとインプラントの同時改善で、理想の口元と健康を手に入れる
これまで、歯並びの改善とインプラント治療を同時に検討する際のポイントについて詳しく解説してきました。失ってしまった歯の機能回復と、乱れた歯並びの改善という二つの悩みを解決し、理想の口元と長期的な口腔内の健康を手に入れるためには、原則として「矯正治療を先に行い、口腔内全体の環境を整える」ことが最善の道です。
確かに、矯正治療とインプラント治療を組み合わせる場合、治療期間は長くなり、費用も高額になる傾向があります。しかし、歯並びの悪い状態でインプラント治療を急いでしまうと、噛み合わせの不具合によるインプラントへの過剰な負担、清掃不良によるインプラント周囲炎のリスク増大、審美性の低下、そしてインプラントや周囲の天然歯の寿命短縮といった、さまざまなリスクに直面する可能性があります。
後悔のない治療結果を得るためには、まずはインプラントと矯正治療の両方に精通した歯科医師が在籍し、精密な診断が可能な設備が整っている歯科医院を選び、じっくりとカウンセリングを受けることが重要です。個々の口腔内の状態やライフスタイルに合わせた最適な治療計画を専門家と共に策定し、機能的にも審美的にも満足のいく理想の口元を目指しましょう。まずは一度、専門の歯科医院で相談し、ご自身の状態を正確に把握することから始めてみてください。
少しでも参考になれば幸いです。
自身の歯についてお悩みの方はお気軽にご相談ください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
東京歯科大学卒業後、千代田区の帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科・新有楽町ビル歯科に入職。
その後、小野瀬歯科医院を引き継ぎ、新宿オークタワー歯科クリニック開院し現在に至ります。
また、毎月医療情報を提供する歯科新聞を発行しています。
【所属】
・日本放射線学会 歯科エックス線優良医
・JAID 常務理事
・P.G.Iクラブ会員
・日本歯科放射線学会 歯科エックス線優良医
・日本口腔インプラント学会 会員
・日本歯周病学会 会員
・ICOI(国際インプラント学会)アジアエリア役員 認定医、指導医(ディプロマ)
・インディアナ大学 客員教授
・IMS社VividWhiteホワイトニング 認定医
・日本大学大学院歯学研究科口腔生理学 在籍
【略歴】
・東京歯科大学 卒業
・帝国ホテルインペリアルタワー内名執歯科
・新有楽町ビル歯科
・小野瀬歯科医院 継承
・新宿オークタワー歯科クリニック 開院
龍ケ崎市・竜ヶ崎駅の歯医者
『小野瀬歯科医院』
TEL:0297-62-0130












